大判例

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東京高等裁判所 昭和26年(う)170号 判決

所論に鑑み記録並びに原判決書を調査すると原判決書は昭和二十五年十二月十一日附で作成せられその主文科刑の項に一旦被告人を懲役十月に処すると記載したのを十月を一年と訂正してあること並びに弁護人が送達を受けたとして提出した本件判決の謄本にはその主文科刑の項に被告人を懲役十月に処すると記載されていることはいずれも所論のとおりである。よつて考察するに原審は本件判決を起按するに当り被告人に対する科刑を一応懲役十月と定めて判決原本を作成し訴訟事務促進等の考えから宣告に先だつて判決謄本の作成に着手せしめたところ、その後において更に科刑の点について再考した結果被告人に対する科刑は懲役一年が相当であると考えて判決主文中の懲役十月を一年と変更し同年十二月十一日に右訂正した判決原本に基いて被告人を懲役一年に処する旨の判決を言渡したものと認められる。而して原審公判廷において懲役一年の刑が言渡されたことは弁護人においても是認するところである。然るに弁護人に対し送達せられた判決謄本には主文に被告人を懲役十月に処すると記載してあるのは書記課において謄本を作成送達する際原本との対照を怠り不注意に判決原本どおり謄本を訂正するのを怠つて送達したのに基因するものと認められる。されば原判決には判決中最も重要な主文中の科刑の点に訂正、変更の痕跡を残すことは不体裁であるという非難を受けるは格別、判決宣告前に一応定めた科刑を再考の結果変更すること自体は毫も違法ではないのであるから判決謄本に前記のような失態があるとしてもこれがために原判決に影響を及ぼすような違法があるとは認められない。

論旨は理由がない。

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